必見!お地蔵さんへの適切な敬意の払い方

豆知識
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日本の風情を象徴するものの一つに、墓地の入り口や道沿いに見られるお地蔵さんがあります。屋外に多く見られ、親しみやすいこの仏像は、屋内の壮麗な仏像とは異なる雰囲気を持っています。

しかし、意外と知られていない事実があります。それは、全てのお地蔵さんに一様に手を合わせるべきではないということです。見た目は似ていても、お地蔵さんには様々な種類があり、それぞれにふさわしい敬い方が存在します。手を合わせるのが適当なお地蔵さんもいれば、そうでないものもあるのです。

では、どのお地蔵さんに敬意を表すべきなのか、またその区別方法は何なのか。これは非常に興味深いテーマです。

本記事では、私たちの日常に溶け込む「お地蔵さん」に隠された知られざる面について詳しく掘り下げていきます。

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街角にあるお地蔵さんへの対応!敬うべきか、避けるべきか?

私たちが街中でよく目にする、誰が管理しているか分からないお地蔵さんについて、どのように接するべきなのでしょうか?

実は、管理者の不明なお地蔵さんには注意が必要です。街角や道端にひっそりと佇む小さな祠やお地蔵さんを見かけたことはありませんか?これらは、事故や急逝した人々を慰めるために設置されたものが多いのです。

こうしたお地蔵さんの周辺には不穏な霊が集まることがあるとされ、手を合わせることによって霊が救いを求めて自分に取り憑く可能性があるため、敬意を表す際は手を合わせるのを避けるべきです。

一方、お寺や寺院が管理しているお地蔵さんであれば、このような懸念はありません。こちらのお地蔵さんには安心して手を合わせて参拝していいでしょう。

屋外に設置されるお地蔵さんへの注意点

道端や屋外にあるお地蔵さんが設置される背景には、その特性と、日本の古くからの信仰、特に「道祖神」への信仰が深く関連しています。

お地蔵さんの特性と背景

屋外のお地蔵さんに手を合わせるべきではない理由を知るためには、「地蔵菩薩」についての理解が必要です。地蔵菩薩は仏教において重要な存在であり、以下のように仏様の分類があります。

●仏様の分類と特徴
如来(にょらい):悟りを開いた最上位の存在。一般的な「仏」の意味は、この如来を指す。
菩薩(ぼさつ):如来になる前の段階で、人々と共に歩み、教えを広める。
明王(みょうおう):如来の別の側面として悪を討ち、仏法を守る。
天部(てんぶ):インドの古神が仏教に取り込まれた存在。帝釈天や大黒天などが該当。
垂迹(すいじゃく):如来や菩薩が一時的に別の姿で現れ、人々を救う。

お地蔵さんは、人々と共に歩む菩薩であり、「代受苦(だいじゅく)」の菩薩として知られています。これは、人間界のみならず地獄に至るまで巡り、人々の苦しみを引き受ける役割を担うことを意味しています。

日本の信仰における地蔵菩薩の役割

平安時代に日本で浄土信仰が広まると、極楽浄土へ行けない人々は地獄へ落ちるという考え方が一般的になりました。この時代の貴族たちは、極楽への道を確実にするために仏像の造立や寺院の建設に力を注ぎました。

経済的に余裕がない庶民は、地獄の苦しみからの救済を地蔵菩薩に求め、彼らを身近な存在として道端に祀るようになりました

お地蔵さんが身に着ける赤いよだれかけの意味

お地蔵さんが赤いよだれかけを身に着けている理由は、赤が魔除けの色であると同時に、子供の健やかな成長を願う意味合いが込められているからです。

亡くなった子供たちは、地獄の入り口とされる「賽の河原」に送られると言われており、そこで石を積んで成仏できると伝えられていますが、積み上げた石は鬼によって壊されるという言い伝えがあります。

昔の日本では子供の早逝がより一般的だったため、親より先に亡くなった子供たちを憐れむ気持ちから、鬼から守り救ってくれる存在としてお地蔵さんが祀られるようになりました。

子供への親近感から、子供の姿に似せて造られ、よだれかけを着けるようになったお地蔵さんは、特に関西地方で毎年8月23日と24日に子供たちの幸せを祈る「地蔵盆」の行事が行われています。

地蔵菩薩と仏教の教え

仏教では、生きること自体が苦しみであるとされています。この世界に生きる人々は、「六道輪廻(ろくどうりんね)」と呼ばれる、六つの異なる領域を何度も転生しながら巡る存在です。この輪廻から脱することができるのは、悟りを開いた如来のみです。

「輪廻」とは、終わりなく繰り返されるサイクルを意味しており、人々が転生する六道は次のように分類されます。

●各道の特徴
地獄道(じごくどう):罪を犯した人が行き、多くの苦しみを経験する。
餓鬼道(がきどう):欲深い人が行き、飢えと渇きに苦しむ。
畜生道(ちくしょうどう):他人の不幸を喜ぶ人が行く、弱肉強食の世界。
修羅道(しゅらどう):怒りや疑いの強い人が行く、争いの絶えない世界。
人間道(にんげんどう):現在私たちが生きる世界。苦楽が共存し、仏の教えを学ぶチャンスがある。
天道(てんどう):楽しみが多いが、最終的には死に再び輪廻する。

仏教創始者の釈迦牟尼仏が亡くなった後、長い期間(※象徴的な大きな数字で表される)が経過し、弥勒菩薩が成仏するまで新たな如来は現れないとされています。

この無如来の期間、人々を救済する役割を担うのが地蔵菩薩です。地蔵菩薩は、如来になり得る力を持ちながらも、全ての存在を救済するまではその地位を受けないと誓っています。特に、他の菩薩が避ける地獄の深部まで行き、人々の苦しみを代わりに受けるとされています。

お地蔵さんは非常に尊い存在ですが、どのお地蔵さんに手を合わせるべきかを知ることが大切です。

六道それぞれにお地蔵さんが分身を送り、6体一組で祀られることもあります。この伝説は、「笠地蔵」などの昔話にも見られ、その話では、5枚の笠を持ったおじいさんが最後のお地蔵さんに手ぬぐいをかぶせて雪から守り、お地蔵さんたちが恩返しをするというストーリーです。

お地蔵さんと道祖神の繋がり

お地蔵さんに関して話す時、理解を深めるために押さえておきたいのが「道祖神」という存在です。

●道祖神について
日本では昔から、村の境界、峠、交差点など、様々な要素が交差する場所に災害や悪霊、病気から守るための魔除けが設置される風習がありました。これらの場所は外からの悪い影響が入り込むとされていたため、魔除けの存在が重要視されていました。

初期の魔除けは単純な棒や岩だったこともありますが、徐々に石碑や石像へと進化しました。例えば、『日本書紀』にはイザナギが黄泉の国の境界に岐神(ふなとがみ)を置いたと記されています。

これらの魔除けは外からの危険を防ぐ役割のみならず、外に出る者の守護神としての役割も果たしていました。歴史を通じて、旅人や流浪する人々の信仰を集め、彼らの安全を守る神様としての性格を強化していったのが道祖神です。

一方、お地蔵さんには、この道祖神の性質を持つものもあります。多くの人がお墓の入り口でお地蔵さんを見たことがあるでしょう。そこにあるお地蔵さんは、あの世とこの世の境界に位置し、道祖神としての役割も果たしています。

また、何もない道端に突如現れるお地蔵さんは、旅の安全を願う象徴として、また途中で亡くなった人々のための供養の役割も担っています。時間が経つにつれて供養される人が分からなくなったお地蔵さんには、悪霊が集まることもあるため、特定しづらいお地蔵さんや道祖神に対しては敬意を払う際に注意が必要です。

道端のお地蔵さんとお寺のお地蔵さんの違いについて

道端に設置されているお地蔵さんには手を合わせるべきではないとされる一方で、お寺できちんと管理されているお地蔵さんへの参拝は推奨されています。

お地蔵さんは多くの利益をもたらす存在で、具体的には無病息災、五穀豊穣、交通安全、子授け、安産、水子祈願、子どもの守護などが挙げられます。お寺によって得意とする分野が異なるため、自分の願いに合ったお地蔵さんを訪れるのが良いでしょう。

お地蔵さんの起源は、インドのバラモン教にある大地の女神「プリティヴィー」に遡ります。豊穣を司り、財を成し、病を癒すこの女神は、現世での利益を願う神様でした。この女神は後に仏教に取り入れられ、地蔵菩薩として知られるようになりました。元々の女神の特性を引き継いでいるため、お地蔵さんには様々なご利益があるとされています。

「地蔵」という名前は、サンスクリット語の「クシティ(大地)・ガルバ(胎内)」を漢字に訳したものです。これは、大地のように広い慈悲の心を持ち、人々を苦難から救う菩薩の意味を持ちます。この起源や名前の由来から、お地蔵さんは母性的な側面を持つ仏様であると言えます。

お地蔵さんと餓鬼との関係

お地蔵さんの母性的な一面が特に感じられるのは、彼らと「餓鬼」とのつながりにあります。

通常は見えない存在ですが、お地蔵さんの周りには餓鬼道への入り口があるとされています。餓鬼たちは普通の食物や飲み物を口にすると炎に変わり、絶えず飢えと渇きに苦しんでいます。

しかし、お地蔵さんに捧げられた水は餓鬼たちに届き、彼らの苦しみを和らげる効果があると言われています。これは、母親の乳しか受け付けない赤ちゃんのようなものです。

お地蔵さんと餓鬼との間には深い繋がりがあります。間違って手を合わせるべきでないお地蔵さんを自宅で祀った場合、家の中で飲み物が減るなどの現象が起きることがあります。霊感がある人によると、そうした家には餓鬼が棲みついていることがあるそうです。

年配の方や親が子どもたちに「どんなお地蔵さんでも手を合わせるべき」と教えることがありますが、これは誤りであり、餓鬼を家に連れて帰るリスクがあるため、大人は子どもたちに正しい知識を教えるべきです。

まとめ

  • 手を合わせてはいけないタイプのお地蔵さんは実際に存在します。
  • 道祖神の要素を持つお地蔵さんの中には、手を合わせてはいけないものがあります。
  • お地蔵さんは母性的な面を持ちつつも、危険性を内包しています。
  • どんな存在も救おうとする優しい仏様であるお地蔵さんですが、そのために悪いものも引き寄せやすい性質があります。
  • お地蔵さんは日本中で見ることができますが、安易に手を合わせてはいけません。
  • お寺などで適切に管理されているお地蔵さんにのみ手を合わせることが推奨されます。
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